仕事においての営業の場であったり、部下の育成などに際して「相手が本当に本音を話しているのか?」感じた事や思った事はありませんか?
相手の本音をしっかり聞くことができれば、その後のコミュニケーションが大きく変わります。
相手の本音を聞き出すには、まず「信頼関係」を創り出す必要があります。
信頼できない人に、本音で話そうとは思いません。
この信頼関係ができれば、ビジネスシーンでも今後の相手との関係性が大きく変わり、有効なコミュニケーションが取れるでしょう。
コーチングの視点から「相手の本音を聞き出す方法」についてご紹介します。
信頼関係を創るための在り方
安心安全の場を作る
「この人は信頼できるな」
初対面でほとんど交流がないのに、なぜかそう感じて気を許せてしまう人、はいませんか?
信頼感というのは、相手と本音でコミュニケーションを取る上で最も重要なものです。
コーチングでは、本音を聞き出すために「安心安全の場作り」に注力します。
それは「ここでは何を言っても大丈夫」という場作りです。
それが信頼感に繋がります。
「安心安全の場作り」のポイントを見ていきましょう。
傾聴する
【聞く】と【傾聴】の違いがわかりますか?
傾聴はただ聞くだけではなく、文字通り「耳を傾ける」ことです。
前のめりになって目を見て、大きく頷き、「そうなんだね」「よくわかるよ」というような相槌を打つ。
傾聴によって、相手に「この人は自分に興味関心を持ってくれている」と感じさせ、心を開く気持ちの土台ができるのです。
この傾聴には3つの段階あります。
レベル1:内的傾聴
意識が自分自身に向いている状態です。
相手の言葉は聞いていても、そこから生まれる自分の考えや意見、評価や感情に意識が向いています。
相手に100%集中できていない状態です。
レベル2:集中的傾聴
自分の意識が完全に相手に向いています。
相手の発する言葉はもちろん、その奥にある感情や思い、仕草やトーンなど、どれひとつ逃さず聞いている状態です。
このレベル2の傾聴は、相手の情報を沢山得る事ができます。
このレベルの傾聴をしていると、相手は「自分を受け入れてもらえた」という安心感を感じます。
レベル3:全方位的傾聴
自分の意識が「自分と相手」のみならず、空間全体に向いている状態です。相手の言葉、仕草、感情だけでなく、雰囲気や空気感にも意識が向いています。
相手がリラックスしているかどうか?二人が会話している場は周りからどんな雰囲気に見えているのか?そういうことも敏感に察知できる状態です。
レベル3の傾聴は、自分と相手を含む「場」に関する情報もわかっている状態です。
信頼関係を創り出すには、このレベル2~3の傾聴レベルで在ることが大切です。
肯定する
傾聴と同時に、大切なのが【肯定】です。
相手が自分の考えと違うことを話したとき、どういうリアクションをしていますか?
そこで相手を否定してしまったり、お説教モードに入ってしまうと相手は「やっぱりこの人には思っていることをありのまま話すことはできない」と感じ、心の扉を固く閉じてしまいます。
上司と部下のやりとりで多いのがこの「肯定ができていない」というものです。
肯定とは受容すること
「相手のどんな発言も肯定するなんてことはできない」と思う人もいるかもしれません。
その場合「肯定」と「許可・承認」を同じものとして考えてしまっているのかもしれません。
肯定は、「受容」する事とも言えます。
「そうなんだね」と、一旦受け取る。その姿勢がこちらにあるだけで、相手の安心感はかなり違ってきます。
その姿勢があってから、「わたしはこう感じる、こう考えてるんだけどどうだろう?」と自分の意見を伝えると、相手も受け取りやすくなります。
信頼関係を創り出すスキル
上記の「在り方」がきちんと出来た上で、ようやくスキル(テクニック)が使えます。
スキルだけを使っても、相手は敏感に察して心を閉じてしまいます。
・「在り方」は話している間ずっとあるもの
・「スキル」は、必要に応じて使うもの
と考えましょう。
ペーシング
ペーシングとは、「相手にペースを合わせてコミュニケーションを取る」というスキルです。
具体的には
- 「同じテンポ、同じトーンで話す」
- 「相手の言葉を繰り返す」
- 「相手が使っている言葉を盛り込んで会話をする」
などがあります。
このスキルを使うことによって、相手の警戒心をとり安心感を与えたり、あなたのことを大切な存在、重要な存在だと感じるようになったり、あなたの話や提案を受け入れやすくなります。
ペーシングの具体例
例えば
「ちょっと相談があるんですが…」と部下に言われたとしましょう。
「なに?どうした?」と聞かれるより、
「相談があるんだね。(同じ言葉を繰り返すペーシングの後)どうした?」
というほうが、受け入れてもらえている感じがしませんか?
話しやすさがぐっと変わります。
取引先との会話などでも、
「〇〇の件について、△△の条件で検討中です」などと言われたときに
「それに関しましては~」とすぐ言いたいことを伝えるよりも、
「〇〇の件、△△の条件で検討していただいてるんですね。それに関しましては…」
と続くほうが、しっかり言葉を受け取ってもらえているように感じます。
ミラーリング
ミラーリングは、ペーシングの一種とも言えます。
相手の仕草や表情と同じことをするスキルです。
- 表情や顔の向き
- 手の動きや上体の角度
- 足を組む、足の向きなど
- 呼吸のペース
などを合わせていきます。
ミラーリングのポイント
単なる真似ではなく、相手を尊重する想いをもってさりげなく気付かれないように行うのがポイントです。
相手に気付かれてしまうと不快感を与え、信頼関係を逆に崩すことになります。相手と同時に同じ仕草をするのではなく、少し遅くなっても全く問題ありません。
相手が上司、お客様の場合には使わない方が良い時もあります。
そういうときはできる範囲のことをする、他のスキルを使うなど工夫が必要です。
共通点を見つける
共通点があると人は信頼関係が一気に増します。
中でも
1.趣味
2.場所
3.過去
の共通点があると相手との距離がぐっと縮まります。
初対面なのに、出身地が同じというだけで相手への気持ちがほぐれた経験はありませんか?
他には学生時代の部活動や、好きなもの、ことなども信頼関係が一気に築ける共通点です。
共通点を作るテクニック
例えばランチに行ったときに相手にどれにしたか聞き「私もそれにしようと思っていました!〇〇さん、趣味が合いますね」と言い同じものを注文したりする方法。
相手の話を聞いているときに、「わかります!わたしも同じです!」と伝える、など共通点を作るテクニックもあります。
小さなことですが、「この人と自分は似ているのかも」と思ってもらうことで信頼関係は一歩進むのです。
相手の本音を聞き出す方法
在り方×スキル=信頼関係
スキルは、あくまでも「在り方」ありきのものです。
相手に心から興味関心を持ち、傾聴の姿勢、肯定的な在り方を示すことによってスキルがより大きな効果を発揮します。
在り方×スキルが信頼関係を築くための方程式。
これがある上で、本音を聞き出す方法を見てみましょう。
自分から本音を話す
まずは本音を聞き出すという本題の前に信頼関係を創り出すことが大切だと書きましたが、信頼関係を創るにあたりもう一つ効果的なことがあります。
それは「自己開示」です。
自分から本音を言うと、相手も本音を言いやすくなります。
誰かが飲みの席で「ぶっちゃけ俺あの上司好きじゃないんだよね」と言い出したのを聞いて、「実は俺も」となった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
まず自分が本音を話すこと、まず自分の情報を開示することで相手の本音を聞きやすくなるのです。
環境を整える
人はリラックスしている状態のほうが、本音が出やすいと言われています。
例えば、立っている時か座っている時で比較すると座った状態のほうが本音を聞き出しやすいと言えるでしょう。
また、座る椅子に関しても固い椅子より柔らかい椅子のほうがリラックスできますよね。
話すトーンも、相手があまりにもテンションが高ければペーシングするのもひとつですが、基本的にはテンションを上げず落ち着いたトーンのほうがいいと言えます。
相槌をしっかりする
ペーシングなどを使うのもそうですが、相槌の効果は大きいものです。
- 「そうだったんですね!」
- 「それからどうされたんですか?」
- 「面白い話ですね~」
- 「そういう事だったんですか!」
など、傾聴の姿勢で質問を交えながらの相槌は、相手に自己肯定感を感じさせ、リラックス状態にさせてくれます。
本音を聞ける人になろう
いかがでしたか?
まず「在り方」ありきで、スキルやテクニックをエッセンスとして取り入れ、本音を聞き出せる自分になりましょう。
「この人になら本音を話してもいいな」と思われる人間像って、どんなものでしょうか。
自分がそうなれたなら、必ず今後の人生は大きく変わります。