「相手が思っているように動いてくれない」「話がわかりづらいと言われる」「プランはあるのになかなか信頼されない」
という悩みはありませんか?
その理由はあなたの伝え方に問題があるのかもしれません。
どんな職業でもコミュニケーション能力は欠かせません。その中でも多くの割合を占める「話し方」は重要な項目でありながら、なかなか習得する機会が少ないものです。
ここでは伝わる話し方のためのポイントをとして、話し方の極意3つとスキルを4つ紹介します。
ちょっとしたコツで相手に話が伝わるようになり、自分の期待するような結果に繋がります。
伝わる話し方のための極意3つ
相手に話を伝える前に、前提となる極意を3つ紹介します。相手に伝わる話し方とはどういったものか今一度考えてみましょう。
1.話す目的を明確にする
話し出す前に、まずは自分が今から話す目的は何なのか、相手にどう行動してほしいかを明確にすることが大切です。
ビジネスにおいては必ず話す目的が存在します。
「相手にとってほしい行動をリクエストし、その行動をとることについて賛同してもらう」ということです。
伝える目的を明確にする
たとえば
- 上司に報告をする
- 顧客にセールストークをする
- プレゼンテーションをする
といった場面での目的は、
- 情報を共有し、意思決定をしてほしい
- 商品の価値を理解し、商品を購入してほしい
- 自分の提案を理解し、受け入れてほしい
といったものです。
目的のない内容は伝わりずらい
目的を明確にすることで、話す内容を整理でき、メッセージの作り方もかわってきます。
反対に目的を失い、何について話しているのがわからないと、内容が理解しづらくなり、相手に起こしてほしい行動が得られなくなってしまいます。
話す際にはなぜそれを話すのか、相手にどう行動してほしいのか、目的を明確にしておきましょう。
2.相手の立場に立つ
相手に理解し行動をとってもらうためには、自分本位の話し方ではなく、相手がどう受け取るか、相手の立場になって話すことが大切です。
こちらに話す目的があるように、相手にも聞く目的があります。話し手のすべきことは、「聞く側が聞きたいことを、聞く側に受け入れられるように伝える」ことです。
必要なものは2点
相手の立場に立つために必要なのは、聞き手に具体的で十分なメリットがある情報、そしてわかり易い話し方です。
上司への報告では「明確な状況報告とその具体的な判断材料」が、上司にとってのメリットのある情報です。
一方顧客へは「この商品を購入すると、自分にとってどのような良いことがあるのか」が最も重要な情報だといえます。
自分が伝えたいメッセージを相手の欲しい情報として変換し、さらにわかり易く伝えることができれば、その話は双方にとってとても意味のあるものになるでしょう。
3.信頼と共感を得る
ビジネスにおいては信頼関係が最も大切です。
また、信頼があることはそのまま「説得力」にも繋がります。会話の中でいかに相手に信頼してもらうかが、ビジネス成功のカギになるのです。
またコミュニケーションにおいて、共感を得て好意を持ってもらうことも必要になってきます。
「この人と一緒に仕事がしたい」という気持ちになってもらうことで、ビジネスがうまく運ぶようになります。
上手に話すより、相手に寄り添う話し方を
時には相手の話を聞いて相手に共感することで心の距離が縮まり、新しい関係を築くことができます。
伝わる話し方というのは、流暢に一方的に話し続けることではなく、相手との関係において信頼と共感を得られる話し方でもあるのです。
伝わる話し方のスキル4つ
話す目的を明確にし、相手本位の話し方を意識し、信頼と共感を得る。これが伝わる話し方の極意です。ではそのための具体的なスキルを4つみていきましょう。
1.結論や要点を先に示す
まずは結論や要点を先に示すことです。
結論や要点を先に述べる理由は2つあります。
相手の印象に残すため
一つは人の注意力は一定ではなく、最初と最後に高まるためです。大切なことは最初に言い、しっかりと印象を残すようにしましょう。
メンタルモデルを作るため
もう一つはメンタルモデルを作ることためです。
メンタルモデルとは、人がもつ物事に対してのイメージのことです。
人はもともと、「Aが起きれば、Bとなる」という予測を無意識に行っています。また、わからないということについても不安を感じる生き物です。
最初に要点の提示がないと、「結局何が言いたいのだろう」と不安なまま話を聞き続けなければなりません。
最初に結論や要点を言うことでメンタルモデルができ、そのイメージのもと安心して聞けるため、話の内容を理解しやすくなります。
メンタルモデルを崩さない
また、メンタルモデルを作ったらそれを崩さないことも大切です。人は一貫性のあることを信頼するためです。
カナダのウィルフレド・ローリエ大学の研究で、あるグループに対して日常での発言や行動に「一貫性を持たせること」を増やすように指示したところ、グループ間の親密度と信頼が増したという結果が出ました。
メンタルモデルを崩さない話し方をするために必要なのは、必ず事前準備をすることです。思考の整理としてマインドマップを作成したり、スピーチでは必ず原稿を作るようにしましょう。
2.簡潔に伝える
簡潔に伝えることも大切です。
人は短期記憶で1度に覚えられる言葉の数が決まっており、それは1つの文章で7語∓2語です。
それ以上になると、後々まで覚えていられる長期記憶のみならず、短期記憶にすら残りません。
また脳のエネルギーの消費量はとても大きく、全体の20%〜25%を占めます。そのため、自動的にエネルギーの消費量を抑えようとします。
脳は難しいことやわかりにくいことに対しては、エネルギーの消費量が増えるので嫌い、反対に分かりやすいことに対しては、エネルギーの消費を抑えることができるので好むのです。
何がわかり易いかは相手次第
専門用語を使用するとその用語の意味がわからない人もいれば、専門用語を使用したほうが文章が短くなり、理解し易い人もいます。
相手の理解度のもと、できるだけ簡潔に話すようにしましょう。
3.理解度を確認しながら話す
相手の理解度を確認しながら話すことも重要です。
会話やスピーチの中で、自分の言いたいことを全て言えたとしても、相手は置いてきぼりになり、話の内容を理解できていない可能性があります。
人間の脳は常にいろいろなことを考えているのが通常の状態です。
一つの物事に集中し続けるというのは普通のことではありません。話す側は相手の関心をいかにして引き続けるか、が大切です。
一方的に話し続けることはやめましょう
会話やスピーチの間では必ず「ここまで大丈夫ですか?」「何か質問はありますか?」と確認するようにします。
相手の表情なども観察し、理解をしていないまま進むことのないようにしましょう。
この理解度を確認する作業には、自動的にわかり易い文章構成になりやすい、というメリットもあります。
疑問点を聞くために、段落ごとに区切りながら話すようになるからです。
4.態度や声を意識する
伝わる話し方には態度や声など内容以外の要素も関わってきます。その中で大切なのは相手に合わせるということです。
具体的には
- はっきりとした声で話す
- 笑顔と厳しい表情を使い分ける
- 意図的にジェスチャーを取り入れる
- 落ち着いて話す
- 姿勢を良くする
- 滑舌を意識する
- 適度な間をとる
などがあります。全て意識することはなかなか難しいかもしれません。
話し方はうまく聞こえることより、聞き手が話し手との距離を近く感じられることが大切です。
まずは相手にとって心地よいと思われる態度、声はどのようなものか意識することから始めましょう。
伝わる話し方について
伝わる話し方について重要な点をみてきました。
まずは話す目的、そして話す場面には必ず相手がいることを忘れずに、相手本位の話し方をすることが大切です。
話し方にはマナーやスキルが数多く存在していますが、意識するポイントを押さえ、少しずつ取り入れていくことで、いつの間にか話が伝わり、相手の心がつかめるようになっているはずです。
参考文献
田口力著「世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられているプレゼンの基本」KADOKAWA 2017