仕事ができる、できないというのは、知能検査で測れるようなIQだけで決まるものでしょうか？
勉強がとてもできて優秀だった人が、仕事ができるかといえば、そうとは限りません。
仕事には、IQでは測れない非認知能力の高さが必要なのです。
認知能力と非認知能力
人間の能力には認知能力と非認知能力というふたつの能力が存在しています。
それぞれどういった能力なのでしょうか？
認知能力とは
認知能力とはいわゆる知能検査で測れるような認知面の能力のことです。勉強ができる人というのは、この認知能力が優れているということです。
つまり記憶する力や、ヒントから推測する力、知識などが認知能力と呼ばれ、この能力が高いと勉強が他の人よりもたやすく出来るということになります。
非認知能力とは
一方で非認知能力というのは認知能力とは違い、数値で測ることができない能力です。
例えば目標に向かって計画的に取り組みを続け達成する力であったり、他者とのコミュニケーション能力であったりが非認知能力です。
非認知能力は数値として測定することは出来ませんが、現状からどの程度高いのかを推測することは可能です。
つまり、非認知能力は現状に強く反映される能力なのです。
非認知能力が高い人とは
非認知能力というのは、一般的に３つの能力で構成されています。どういった能力が高いと非認知能力が高いことになるのでしょうか？
他者とのコミュニケーション能力が高い
他者とのコミュニケーション能力というのは、非認知能力です。この能力が高い人は、なにげない会話で盛り上げたり、相手の話を上手に聞くことが得意です。
一方的に話すのでもなく、ずっと聞いているだけでもなく、上手に会話のキャッチボールをすることが可能です。
そのため、周りもその人となら気楽に話をすることができるのです。
また人に向かって開けた態度をとるので、とても声をかけやすい雰囲気が常に出ていたりもします。
こういったコミュニケーション能力の高さというのが非認知能力の高さにつながるひとつの要素です。
目標に向かって努力する忍耐力
目標に向かって地道に努力を続けることができる忍耐力も、非認知能力のひとつです。
この能力が高い人は、仕事の目標に向けてしっかりと計画を立て地道な努力を惜しまず続けることができます。
人は何かしらの意味が見いだせないと努力を続けることが難しい傾向にあります。
この能力が高い人は、自ら意味を見出そうとする力も持ち合わせています。
つまり一見意味のない仕事であっても、自分のスキルアップにつながるなど考え方を変換して努力を続ける理由付けを上手に行うのです。
こういった目標に向かって努力する能力の高さというのも、非認知能力の高さにつながるひとつの要素です。
感情コントロール力
感情を上手にコントロールする能力も非認知能力のひとつです。
この能力が高い人は、特に怒りの感情を上手にコントロールし冷静に対処をとることが可能です。
お客様を相手とするときに、不条理なことを言われたり神経を逆なでするようなことを言われる場合があります。
そういった時に感情のまま怒ったり、明らかに不機嫌な態度をとってしまっては仕事になりません。
どんな状況であっても自分自身の感情を上手にコントロールし、その場で表情や言動に出さないことが必要です。
こういった感情を上手にコントロールする能力の高さも、非認知能力の高さにつながるひとつの要素です。
非認知能力がなぜ仕事に必要な理由
コミュニケーション能力、忍耐力、感情コントロール力という3つの非認知能力が仕事に大切なのはどうしてでしょうか？
コミュニケーション能力の必要性
どのような仕事であっても、他者とのコミュニケーションが必須となってきます。
例え日々機械や薬品などと向き合っているような仕事であっても、同僚が必ず存在しています。最初から最後までひとりきりで完結する仕事というのはそれほど多くないでしょう。
つまり仕事において他者とのコミュニケーション能力はなくてはならない能力であるということです。
仕事ができる人というのは、常日頃から周りとのコミュニケーションを怠りません。そのため困った時にはすぐに周りが気づいて助け舟を出してくれます。
またお客様がいるような仕事であれば、コミュニケーション能力は尚のこと大切になります。仕事においてコミュニケーション能力が高くて得られるメリットは多々あるのです。
忍耐力の必要性
忍耐力も仕事には必要な非認知能力です。
仕事を行うモチベーションは、この忍耐力があることで保ちやすくなります。仕事は結果がすぐに出るものばかりではありません。
大変な思いをしていても、結果が出るのは何年も先ということだってあります。
また結果が直接見えないような仕事もあります。そういった仕事であっても自分なりに仕事をする意義を見出し、コツコツ続けていくことで仕事は目標達成へと向かっていくのです。
つまり忍耐力は、どのような仕事においても大切な能力と言えるのです。
感情コントロール力の必要性
感情コントロール力は仕事に限らず社会生活を送るうえで大切な能力のひとつです。
感情をコントロールできないと、周りに当たり散らしてしまったりパニックになってうろたえてしまいミスを連発してしまうといったことが起こります。
そういったことを起こさないためには、自分自身の感情を上手にコントロールしていくことが大切なのです。
またプライベートで色々あった時も感情コントロール力がある人は、仕事にそれほど支障をきたしません。
例えば恋人と別れたからといって落ち込みがひどく仕事が手につかないような人では、周りから信頼を得ることは難しいのです。
つまり感情コントロール力というのも仕事をする上で大切な能力と言えるのです。
非認知能力の高め方
3つの非認知能力が、それぞれ仕事をする上で大切な能力であることがわかっていただけたでしょうか？
とはいえ、こういった能力が元々備わっているとは限りません。中にはコミュケーション能力は高いけれども忍耐力が低いという人もいるでしょう。
非認知能力はどのようにすれば高めることが可能なのでしょうか？
コミュニケーション能力は聞き上手になることから
コミュニケーション能力を高めるためには、まず聞き上手になることが大切です。
自分から話題をふらなければ！と焦ってしまうと、ひとりよがりで話し続ける結果となってしまいます。そうなると会話のキャッチボールは成立しませんね。
まずは聞き上手になることで、相手がどういった話題に興味を持ってくれるのかがわかりやすくなり、自分からの話題もふりやすくなるのです。
聞き上手というと、常に相槌を打ったり大げさにリアクションして聞くことだと考える人もいますが、そうではありません。
相手の気持ちを考える
相手が話をしているうちの気持ちの面にフォーカスしながら聞くと、聞き上手な聞き方になることができます。
例えば相手がこの前あった嫌な出来事の話をしているとしましょう。「車をぶつけられてさ、そのまま逃げられたんだよ。本当に腹が立ってる」と話している時は、腹が立っているにフォーカスし「それは腹が立つだろうね」と返します。
そういった聞き方をしていると、相手も話を続けやすくなるのです。聞き上手に慣れたころには、コミュニケーション能力もぐっと上がっています。
忍耐力は発想の転換の練習を
忍耐力というのは、耐え忍ぶことを訓練すればよいかと言えばそれだけでは足りません。もちろん、少しずつ耐えられるよう努力することも有効です。
ただ、それよりも発想の転換をするほうが簡単に忍耐力を高めることに繋がります。
何の意味も見いだせないような単純作業の仕事であっても、自分の中で「どれだけ早く正確にできるかチャレンジ」と考えれば、どんどんやる気が湧き、作業効率が上がります。
すると無理に忍耐しなくとも、気づけば努力し続けて目標達成という結果になっているのです。
発想の転換はそれほど難しいことではありません。自分なりの意義を見出したりゲーム感覚にしてみたりすることで、それほど辛くなく忍耐力が発揮されるのです。
感情コントロール力は6秒待つことから
どうしても怒りなどの感情がうまくコントロールできない場合、まずは6秒待つことから始めてみましょう。怒りは6秒立つと少し下がってくる瞬間的な感情です。
そのため、どうしても怒りが湧いてきたときは「ちょっとお手洗いに」とトイレに立ってしまったりするなど、とりあえず席を外すことが有効です。
もしそれができないのであれば、自分の中でゆっくりと6秒数えてみましょう。
それで感情のまま行動するようなことを避けることができた時には、自分自身にご褒美をあげる方法がおすすめです。
頑張った時にご褒美があることで、その行動が強化され、次も頑張ろうというやる気につながります。
怒りがコントロールできれば、たいていの感情はコントロールできます。ぜひ6秒待つ練習をしてみてください。
非認知能力を高めて仕事に活かそう！
仕事ができる人を少し観察してみましょう。
色々な要素が重なって仕事ができるのですが、おそらく共通して非認知能力が高い傾向にあることでしょう。
非認知能力が高いと、仕事ができるだけでなく、自分自身も楽に仕事をすることができるようになるのです。
認知能力とは違い、あとからいくらでも伸ばすことが可能なのが非認知能力です。
もし自分を振り返ってみた時に、足りない部分があれば、伸ばす努力をしましょう。この努力は必ず自分に返ってくる努力です。