「しっかりと傾聴しましょう」という言葉はビジネスシーンでもよく目にしますが、実際に傾聴ができている人は意外と少ないものです。
傾聴力が高い人は、仕事がとてもできます。
傾聴力はどういった時に役立つのでしょうか?また傾聴力を高めるにはどういったことをすればよいのでしょうか?
傾聴力とは
傾聴力とは人の話をただ聞くだけの力だと考えている人もいるかもしれません。
人の話を聞くなんて簡単だと考えている人も割と多くいます。けれども、それは違います。
傾聴力というのは、ただ聞くだけの力ではないのです。
傾聴力というのは、相手の気持ちにしっかりと寄り添って聞く力のことです。
ただ話を聞くのではなく、相手の本音を引き出し、それをしっかりと受け止め、余計な言葉を挟むことなく聞く、それが傾聴力です。
元々はカウンセリングの際に使われるスキルですが、ビジネスシーンにおいても傾聴力がビジネスを有利に動かすということで注目されているスキルです。
傾聴力が必要な理由
傾聴力というのは、実際にそれほど必要なスキルなのでしょうか?どういったところで使えるスキルなのか具体的に紹介していきます。
信頼関係が築きやすい
傾聴力は、信頼関係を素早く築くために必要なスキルです。
例えば、車を購入しようとディーラーに行ったとしましょう。
- いかにこの車が素晴らしいのかを矢継ぎ早に喋ってくる営業
- あなたの車に対する要望を丁寧に聞き出してくれる営業
どちらの営業が信頼できるでしょうか?
人は自分の話をきちんと聞いてくれた人に対して信頼感を感じます。それはビジネスの場面であっても同様です。
そのため、商品を押し付けるのではなく、どんな商品が欲しいのかという要望を聞いてくれる人に信頼感を感じるのです。
相手の本音がわかる
傾聴力があることによって、相手の本音を上手に聞き出すことが可能となります。
ビジネスをする上で、相手が実際にどう思っているのかを知っていることは非常に有利です。
相手の本音がわかると、自分が何をすれば相手が納得してくれるのが明確だからです。
傾聴力がある人は、相手の本音を引き出すのが上手です。相手の話を相手の気持ちに沿って聞き、きちんと共感していくため、つい本音が出やすくなるのです。
例えば自分の要望と少し違うと感じ、それを伝えたとしましょう。
「少し違うと感じられたのは、どこでしょうか?」と具体的に聞いてくれたら話をしたくなりますよね。
一方で「違いますか?でもこれの良いところは…」と畳みかけられたら、言っても仕方ないとあきらめの気持ちを感じるのではないでしょうか。
このように傾聴力があると、相手の本音をぐっと引き出しやすくなるのです。
少し無理なお願いを聞いてもらいやすくなる
傾聴力があることは、相手の話を聞き出せることだけがメリットではありません。
実は少し無理なお願いを聞いてもらいやすくなるというメリットもあるのです。
人は自分の本音をしっかりと聞いてもらえると、相手の本音も聞こうという心のゆとりが生まれます。
そうなると少し難しいお願いをされた時に、自分も無理を聞いてもらったから、お返しに少し無理だけど頑張って聞いてあげようと感じるのです。
クレームで傾聴力が生きるケース
例えば、クレーム対応をするお客様相談室などで、このスキルが発揮されています。
クレームをつける人というのは、最初とても怒った状態で電話をかけてくることが多くあります。
そのためとても難しい対応を求められることが多くあるのです。「社長をすぐに呼んできて土下座させろ!」や「他の患者を後回しにして自分を先に見ろ!」など現実的には難しい対応です。
そういった時に、どういったことで気分を害されているのか、きちんと傾聴することが大切です。
しっかりと何にどのような怒りを感じているのかを傾聴し、謝罪することで相手の気持ちにゆとりが生まれます。
すると最初に出された現実的に難しい対応ではなく、別の対応を取ることを許可してもらいやすくなるのです。
つまり傾聴力を発揮することで、相手にとってだけでなく自分にとっても良いことがあるのです。
傾聴力を高める方法
では実際に傾聴力を高めるにはどういったことをすればよいのでしょうか?
傾聴力を高めるために有効な日々できるトレーニングについて紹介します。
質問するようにする
傾聴力が弱い人は、自分の話ばかりしてしまいがちです。
相手の話を聞き出すには、まずは相手に質問をして話をしてもらう必要があります。
話をしている時に、相手の視線が道を歩く猫に注がれていることに気がついたら「猫、お好きなんですか?」と質問してみる。
「はい、実は猫が大好きで」と話してくれたら成功です。
人と会話をするときに、少しずつ質問を入れるスキルを身につけていきましょう。
1問1答にならないように注意する
質問するということは、相手に対して興味を持っている、理解しようとしているということを示すことになります。
ただし、質問ばかりしてしまうと質問攻めにあっているようだと相手が引いてしまう可能性があります。
質問をするときは一問一答にならないよう気をつけましょう。
共感力を高める
傾聴力を高めるためには、共感力が必須です。
共感力がないと、傾聴ではなくただ聞いているだけになってしまうのです。人は自分の気持ちに共感してもらえて初めてしっかりと聞いてもらえたと感じます。
例えば「仕事で大きなミスをしちゃって、やっぱり結構落ち込むね」と同僚に言われたらどうしますか?おそらく多くの人は、なんとか励まさなければならないと考えるでしょう。
けれども実際自分がそう言った時に、励ましを受けても気持ちは晴れないことが多いものです。
共感力とは
それよりは「それは落ち込むよね。最近仕事が軌道にのっていたところだもんね」と共感されたら、もう少し気持ちを話してみたいと感じるのではないでしょうか?
そうやって気持ちを話しているうちに、少しずつスッキリしてきます。
これが共感力です。
つまり傾聴力を高めるためには、人の気持ちに共感するトレーニングが必須なのです。
視野を広く持つ
傾聴力が強い人は、視野が広く言葉以外のところからも情報を得ています。
つまり視野を広く持つトレーニングが傾聴力を高めるのに有効なのです。
例えば、同僚と話をしている時に、同僚がどこを見ているのか何をしながら話しているのかなどを少し意識してみましょう。
少し意識するだけで、今までは気が付かなかったことに気が付くようになります。
日々の訓練で視野は広くなる
日々そうやって意識していると、言葉以外から情報を得ることが無意識にできるようになってきます。すると言葉と気持ちがズレている時に気が付きやすくなり、相手の本音を引き出しやすくなるのです。
例えば、ある車を買いに来た人が話している最中に、別の車もチラチラ見ていると気がつければ「もしかしたら、あっちの車も迷っていますか?」と聞くことができます。
すると「実はワンボックスがいいって妻は言うんだけど、僕はSUVに乗りたくて」と本音を聞き出すことに成功するのです。
高い傾聴力を身につけるためには、そういった視野の広さも必要なのです。
傾聴力の高い人と会話する
傾聴力を高めるためには、自分が傾聴力の高い人と話す経験をすることが近道になります。
傾聴力の高い人と話すとどういう気持ちになるのかを実感することができます。また傾聴力の高い人の視線の配り方や質問の仕方、共感の仕方を体感することができます。
そうやって自分が経験することで、それを真似しながら会話をすれば、少しずつ自分なりの傾聴スタイルが身についていきます。
職場で顧客の気持ちを聞き出すことが上手な人がいれば、その人と積極的に話をするようにしてみましょう。得るものがたくさんあります。
傾聴力が高まれば様々なことがうまくいく!
傾聴力が高い人はビジネスがとても上手です。
相手の要望を的確に引き出し、自分のお願いも聞いてもらう、そういった駆け引きが非常に巧みなのです。
また傾聴力が高い人は、周りからの信頼も厚く、人脈をしっかりと持っています。
そういった要素はビジネスを成功させるために絶対的に有利な要素です。
傾聴力は、自分の意識と日々の練習次第で誰もが身につけることのできるスキルです。
なかなかビジネスがうまくいかない、営業成績が悪いなど悩みがある時は、ぜひ傾聴力を身につけるところから始めてみてはいかがでしょうか?