目標設定のことを、コーチングの世界では「ゴールセッティング」と呼びます。
このゴールがしっかり定まっていないと、どこに向かっていくのかわからないまま闇雲に進んでいくことになります。
また、現状の延長のままゴールセッティングを行ってしまうと得たい結果が得られず、生きたい人生を生きるための手助けにはなりません。
今回は『コーチングの観点からの正しいゴール設定の方法』についてご紹介します。
世の中の多くのゴール設定が間違っている
間違ったゴール設定の仕方
よくある目標設定の方法として、以下のようなものが挙げられると思います。
- 具体的な目標を設定する
- 今の状態から実現可能な目標を設定する
- 段階を踏んで目標達成するための目標設定をする
- 過去の経験を考慮して目標を設定する
いずれも納得のいくやり方のように見えますが、どれもお勧めしません。
なぜだと思いますか?
現状から考えている
それは、「自分の状況を大きく変えなくても達成できるもの」だからです。
これまでとは違ったアクションを起こさなくても達成できる目標です。
このように現状からの延長線上での目標設定をすると無意識下では「目標達成のために自分を変えなくてもいい」と捉えてしまうため、いつまでたってもうまくいかない、という状況が生まれてしまいます。
脳は変化を嫌う
人間の本能は「生き続ける(生存本能)」ことであり、変化すればそこに障害が生じる可能性があります。
そのため、脳は変化を嫌います
「変化せず、常に一定を保ち続ける」という生命維持のための脳の働きを、「恒常性維持作用」といいます。
この「恒常性維持作用」が働くため、人は習慣を変えたり思考を変えたりするのがとても難しいのです。
コンフォートゾーンとは
コンフォートゾーンとは、脳の「居心地の良い領域」のこと。
恒常性維持作用があるため、このコンフォートゾーンからはなかなか抜け出せません。
例えば、普段行かないようなオシャレなパーティー会場で開かれているワンランク上の異業種交流会に参加する。
…なんだか居心地の悪さを感じてソワソワしませんか?
でもそこから二次会で居酒屋に移動すると、ホッとしたり。
ということは、「居酒屋」があなたのコンフォートゾーンなわけです。
もちろん居酒屋に行くだけで生命が脅かされることはありませんが、脳は「変化」を総じてそう捉えてしまいます。
コンフォートゾーンを抜ける
このコンフォートゾーンから抜け出していくことが、生きたい人生を生きるためにはとても重要になってきます。
現状から目標設定をすると、このコンフォートゾーンの中で目標設定をしていることになります。
「今までの自分」を維持したまま目標達成しようとしてしまうため、根本的な部分が変わらずに一時的な変化のみで普段の自分に戻ってしまい、やってもやらなくてもいいや、という状態になってしまいます。
その状態では脳の「変わらない」という本能に打ち勝って目標を達成するのは難しいのです。
正しいゴール設定のポイント
現状の延長ではないゴール設定をする
コンフォートゾーンを抜け出すために必要なのは「現状を超えるくらい大きな目標設定をする」ことです。
- 想像するとドキドキして怖くなってくるくらい壮大なもの
- 周りの人が驚いて止めてくるようなもの
- やり方が全くわからない、方法が思いつかないもの
これらを達成するためには、今のままの自分では到底無理。思いきり自分を変えるしかありません。
「今の自分をより良く改善していけば叶う」程度のことではないのです。
現状を大きく超えるゴール設定をしたとき、その居心地の良さから外れるストレスがコンフォートゾーンから飛び出すエネルギーとなります。
コンフォートゾーンに引き戻されないため、自分を大きく変えざるを得ない目標設定をしましょう。
「今の自分では絶対に叶わないもの」かどうか?をチェックしてください。
自分が心からワクワクするものにする
当然の話ですが、やりたくないことに対してモチベーションは上がりにくく、目標達成は難しくなります。
自分がそのゴールを達成しているところを想像すると心からワクワクする、震える、力が湧いてくる…
そういうものを設定しましょう。
そんなの当たり前じゃない?と思われがちですが、「周りから必要だと思わされているもの」を「本当にやりたいこと」だと思い込んでいる人も多いのです。
親やメディアの影響を受け、それをすることが良いことだ。と思い込んでいませんか?
「やらされる」ものは、ゴールにはなりえません。
「周りに反対されてもそれをやりたいか?」という問いを一つの目安にしてください。
人のためになるかどうか
そのゴールを達成することで、喜ぶ人は誰ですか?
自分のためだけのゴール設定には、エネルギーが出にくいものです。
そのゴールは、社会のためになりますか?
どんな人にどんなプラスがありますか?
喜ぶ人の顔を思い浮かべてみてください。自分のためだけに頑張るよりも、【貢献心】があるほうが頑張れます。
そして自分のためだけにゴール設定をする人は、自分がしんどくなるとゴールから逃げてしまいます。
自分のためのものであることが悪いことなのではありません。自分のためであり、なおかつそれが人のためになる、ことであるべきなのです。
そのゴールが達成されたあとの生活をイメージしてみる
コンフォートゾーンから抜け出すような、今の自分の外側のゴールを設定したとして。
それだけでは、そのゴール設定がうまくいくことはありません。
重要なのは、そのゴールを自分が達成しているイメージを具体的にすることです。
例えば「仕事でこれだけの業績を上げたい」というゴール設定だとしたら…
- そのゴールを達成した時、周りの人はどういう顔で祝ってくれるか?
- そのゴールを達成している自分はどういう在り方なのか?
- どういうところで食事をしているか?
- 人にどう接しているか?
全て具体的にイメージしてみるのです。
今できることをしよう
そのイメージングのため、
- ホテルのラウンジで一人でお茶をしに行くこと
- 欲しい時計を試着しに、お店に足を運ぶ
- 周りの成功者と同じ場所に継続的に寄付をする
そうして、「脳を騙す」のです。
コンフォートゾーンを、ゴールを達成しているところに持っていきます。
今までの日常生活に違和感が出るほどに。そうすれば「恒常性維持作用」によって、ゴール設定している場所まで脳が運んでくれるでしょう。
ゴール設定の例
サッカー選手として華々しい活躍を見せている本田選手。
12歳の時に書いた卒業文集の内容が話題になりましたが、ご存じでしょうか。
ゴール設定の面からみて本当に素晴らしいので、ご紹介します。
【将来の夢】 本田圭佑
僕は大人になったら世界一のサッカー選手になりたいと言うよりなる。
世界一になるには世界一練習しないとダメだ。
だから今ぼくはガンバっている。
今はヘタだけれどガンバって必ず世界一になる。
そして世界一になったら大金持ちになって親孝行する。
Wカップで有名になって、ぼくは外国から呼ばれてヨーロッパのセリエAに入団します。そして、レギュラーになって10番で活躍します。
1年間の給料は40億円はほしいです。
プーマとけいやくしてスパイクやジャンパーを作り、世界中の人がこのぼくが作ったスパイクやジャンパーを買って行ってくれることを夢みている。
一方、世界中のみんなが注目し、世界中で一番さわぐ4年に一度のWカップに出場します。セリエAで活躍しているぼくは日本に帰りミーティングをし、10番をもらってチームの看板です。
ブラジルと決勝戦をし2対1でブラジルを破りたいです。この得点も兄と力を合わせ世界の強豪をうまくかわし、いいパスをだし合って得点を入れることが僕の夢です。
12歳でこの文章を書ける本田選手は本当にすごいですね。
この文章の中にはいくつものゴール設定に必要な要素が入っています。
- 現状の延長ではないゴール設定
- 心からワクワクするもの
- 人のためになるもの
- 具体的なイメージ
上に挙げたポイントはもちろん、一文目の「なりたいというよりなる」という文章に「決意の度合い」が現れています。
そうなりたい、と思っているうちはまだ自分から見てゴールを遠い夢のように感じています。
100パーセント決める。というのは、ゴール設定や目標達成への大きな鍵なのです。
高いゴールを設定しよう
いかがでしたか?
より高いゴール設定はより高いゴールへと導いてくれます。
今まで自分がしていたゴール設定を振り返って修正し、ぜひ高いゴール設定をして見てください。