イライラしてしまったら、すぐに声を荒げてしまったり、悲しいとすぐに涙が出てしまったりと自分の感情に振り回されていませんか?
感情をコントロールしたいと我慢しようとしても、それは難しい事です。
感情のコントロールは日頃からの積み重ねで少しずつ身についていくものです。
自分の感情をコントロールするためにできることを臨床心理・公認心理士の筆者がご紹介します。
感情的な人とは?
子どもは感情をそのまま素直に表現します。
悲しければ泣きますし、腹が立てば地団駄を踏んで怒ります。嬉しい時も全身で表現します。
けれども大人になるにつれて、少しずつ感情を自分で抑える方法を身につけていきます。
とはいえ皆がみんな自然と上手に感情を抑えられるようになるかといえば、そうではありません。
元々感情の起伏が激しくコントロールが難しい人もいます。
また良い意味で子どもらしさを保ったまま大人になっている人もいます。
- 涙もろい人
- よく笑う人
- 怒りっぽい人
どれも感情的な人です。
コントロールするべき感情
感情には喜怒哀楽と種類があります。
喜びや楽しさという感情に対してコントロールが効かず困るということはあまりありません。
自分で抑えられなくて困るのは、怒りや悲しみといったネガティブな感情でしょう。
感情的な人という表現をする時、たいていは怒りで周りが見えなくなってしまう人や、すぐに泣き出してしまう人のことを指しています。
自分の感情が抑えられない事による不利益
自分の感情が抑えられないことで、実際何に困るのでしょうか?
他者からの視線と評価
自分の感情がコントロールできずに感情を爆発させてしまったあと、たいていの人は周りの目が気になってしまいます。
怒りに任せて人を罵倒してしまったり、大人なのに顔を真っ赤にして泣きじゃくってしまったりと、感情が爆発してしまうと周りの注目を浴びるような行為に及びがちです。
感情が爆発した時というのは、それほど長時間強く感情を出し続けることは出来ません。最初は周りも見えない状態ですが、すぐに我に返ってきます。
そうなると、周りの状況が急に目に入ってくるようになるのです。
驚いた顔でこちらを見ている人に気づいたり、家の窓が開いていて外に丸聞こえになっていることに気がついたりしてしまいます。
そうなった時に、周りからどう思われるのかと急に不安になったり、恥ずかしくなったりと不快な気分になってしまうのです。
そしてあなたの周りからの評価も下がることになるのです。
周りも自分も疲れる
感情を出すということは疲れることです。
たくさん怒ったり、たくさん泣いた後、なんとなく脱力感を覚えたことがありませんか?
感情を出すというのは非常にエネルギーを使う行為なのです。
自分を抑えるのが苦手な人は、自分の感情に振り回されて疲れるということがよくあります。
怒りたくないのに、イライラ感を我慢しようとすればするほど噴出しそうになります。
なんとか頑張って自分を抑えていたのに、誰かの余計な一言で一気に怒りや悲しみが噴出してしまい、結果非常に疲れるということが起こります。
感情をコントロールできないことで、周りも迷惑を被り疲れてしまいます。
そして自分自身も疲れているのです。
伝わらない、理解されない
感情的になってしまうと、自分が本当に伝えたいことがうまく相手に伝わらないというジレンマが起こります。
怒りにしろ悲しみにしろ、感情が抑えきれなくなるのには理由があります。
その理由を相手に伝えたいのに、感情的になることによって相手には怒っている、泣いているという目に見える事実だけが伝わってしまう結果となりがちなのです。
また感情的になっている時は、論理的に話をすることが難しくなります。
また自分が何を言っているのか途中でわからなくなってしまう場合や、最終的に結局何で感情的になっていたのかわからなくなってしまう場合もあります。
自分を抑え感情をコントロールする方法
感情のコントロールが効かず、爆発してしまうことで、周りにも当然よくないことが起こりますが、自分にとってもよくないことがたくさん起こります。
けれども我慢しようとしても、少しのきっかけで我慢が無駄になったという経験は、誰しもが持っていることではないでしょうか?
自分を抑えて感情を上手にコントロールするために、できることは何なのでしょうか?
6秒待つ
これはとても有名な方法ですので、実践したことがある人も割といるでしょう。
感情というのはMAXの状態を保てるのは6秒と言われています。つまり感情を爆発させないためには6秒間我慢すればよいという理論です。
けれども、実際にやってみてうまくいったという人もいれば、うまくいかなかったという人もいるでしょう。
うまくいかなかった人は、少しコツを加えると上手にできるようになる可能性があります。
その場で6秒待ったけど、ダメだったという人は、その場を離れて6秒待つというようにするとうまくいきやすくなります。
例えば、イライラが募って我慢もそろそろ限界だと感じたら、ゆっくりと6つ数えながらトイレへ行ったり外へ出たりしてみましょう。
人は場面が変わることで気持ちが変わりやすくなります。
その場で6秒数えても場面が変わらないと、結局すぐに我慢の限界を迎えてしまうのです。そんな時は、場所を移動して6秒待つという方法が有効です。
我慢をしない
感情のコントロールが効かない人というのは、実は我慢しやすい人に多くみられます。
我慢しているからこそ、徐々に感情が大きくなり勢いを増し、自分では抑えられない状態になってしまうのです。
感情をコントロールできる人というのは、大きくなりすぎる前に感情を小出しにしていたりするのです。
怒ってはいけない、泣いてはいけないと強く自分に言い聞かせて、感情が湧いてくるのをこらえようとしていませんか?
これは、自分は感情が抑えられないと悩んでいる人ほど強く出る傾向です。この強い我慢が結局裏目に出てしまい、さらに感情が暴走してしまう結果を生みます。
言いたいことがあるのであれば、感情のコントロールが効くうちに言葉にしておくことが有効です。
言葉にしたからといって状況が変わるとは限りませんが、我慢をした結果感情任せに言ってしまい、言いたいことが伝わらないよりは、よほど良いでしょう。
人に期待しない
感情がコントロールできないほどの状態になってしまう時というのは、人に期待を裏切られた時というのが多いのではないでしょうか。
誰かに何かをしてもらいたいと考え、その通りに動いてくれる未来を期待していたということがありませんか?
その通りにならなかったことで、怒りや悲しみがあふれてしまい自分を抑えきれなくなったということはよくあることです。
人はそれぞれに考えや感情があり、なかなか自分の思う通りには動いてはくれません。
だからこそ、最初から思い通りに動けばラッキーくらいに考えておくことは、自分を抑えるのに有効な方法です。
期待しないから、感情もコントロールが効かないほど盛り上がることもありません。
自分を分析する
感情と論理的思考は同時に起こすことができません。
もし少し悲しい気持ちになってきたと感じた時は、なぜ自分が今悲しい気持ちになってきたのか自分を分析すると良いでしょう。
分析の手順
例えば「私が話をしているのに、目の前の恋人はスマホのゲームから目を離さないからだ」と悲しい気持ちになった原因をまず探ります。
原因がわかったら、次はどうして悲しいかを分析します。
「私に興味がないのかと不安で悲しい」と自分の気持ちに気が付くことができます。そこまで分析できれば、次は「じゃあどうしようか」を考えるのです。
このように、少しずつ自分を分析していくことで感情が抑えきれなくなるような事態は避けられます。
慣れるまでは少し難しく感じるかもしれませんが、何度もやっていると自然とできるようになります。
自分で自分の感情をコントロールできる人になろう
自分で感情がコントロールできないと、人を傷つけてしまったり自分自身も傷ついてしまったりします。
気持ちが疲れてしまったり、自分を卑下するような気持ちになってしまうなど良いことがありません。
けれども自分の気持ちをうまくコントロールできるようになる方法はいくつかあります。
一度うまくいかなくても諦めずにトライし、自分に合った方法を見つけてください。
そしてうまくいったときは、自分をたくさん褒めてあげましょう。